昭和25年生まれの私の世代に共通することかも知れませんが、小さい頃は明るい照明に憧れたものです。幼い頃に40Wや60Wという暗い電球で過ごしたからだと思います。電球に傘をつけたら部屋が明るくなったり、100W電球が登場してその明るさに驚いたり、蛍光灯の白くて明るい照明には感動すらしたものです。
そういう時代を過ごしたせいでしょう、とにかく部屋を明るくすることが好きでした。贅沢というか豊かな気分になったものです。日本が経済的に豊かになってくると、次は照明器具や照明の色を気にするようになりました。青白い蛍光灯の色が嫌になったんですね。それで、太陽光に近い光を放つ蛍光灯が開発されるようになったのでしょう。
私には、長い間、明るさへの憧れと経済性というものがいつも意識下にあったと思います。白熱灯がいい感じの照明だと分かっていても、消費電力が気になって仕方がありませんでした。私のこの意識が変わったのは、外国でのアパート住まいの経験からだと思います。
イランのアパートの照明は基本的に白熱灯でした。蛍光灯もありましたが、トイレとか間接照明に使われている程度でした。居間などにはシャンデリアが主照明でしたが、いずれも白熱灯でした。間接照明やらシャンデリアなどすべてを点灯すればかなり明るくなりますが、かなりの電力消費になったはずです。
居間だけでみると、シャンデリアには40Wの白熱灯が16個くらいありましたから、それだけでも大変な電力消費です。間接照明だけでは少し暗いので、ホームパーティなどの際には両方を点灯しましたが、普段は間接照明だけにしていたものです。
そんな生活をしているうちに私の照明に対する意識が目覚めました。明るいだけでは面白くないということです。やや暗くても陰影のある照明はいい雰囲気が出るものです。それと気分的にも落ち着きますね。
実は、今日、DIYのお店に行って、電球を買って来たのですが、買って来たものは10Wの電球でした。昔は60Wを2個つけていたブラケットなんですが、そこにその10Wを2個つけたのです。日中は昼行灯のごとくぼーっとしていますが、夜になるとなかなかいいものです。
やや暗い電球などの照明による陰影のある表情を好きになったのは、年齢だけのせいではないでしょう。昔の貧しい頃の体験がまともな感性の邪魔をしたんじゃないかと思っています。暗いレストランは今でも好きではありませんが、明るいだけの照明では味気ないですね。日本ではないでしょうけど、外国の暗いレストランって料理が見えないくらいのもありましたからねぇ。